政府は、令和2年度補正予算で、中小・零細企業、個人事業主などへの資金繰り支援をさらに強化するために、日本政策金融公庫、商工中金、日本政策投資銀行などの政府系金融機関が実施している、実質無利子、無担保、最大据え置き5年などの特徴を持つ融資について、5月1日より都道府県等の制度融資を活用して地域金融機関などでも対応できるようにした(ゼロゼロ融資)。
しかし、「ゼロゼロ融資」は正しく活用をされていない例も多いらしく、コロナウイルスの影響を受け、本当に「ゼロゼロ融資」を必要としているが、債務超過であったり、債務者区分が悪かったりするところには話をもっていかず、実際には「ゼロゼロ融資」を必要としない顧客、例えば、債務者区分で言うと正常先の上・中位層でコロナウイルスの影響をそこまで受けていないところに話をもっていき、全くリスクを取らず金利で儲けようとしている地域金融機関(ちいきん)も多くあると聞く。
これほど悲しいことはない、経済の血液であるお金が、その地域で本当に必要なところまで届いていないのである。
過剰なノルマ主義や金融検査マニュアル時代の影響があるとはいえ、このような現象が起きてしまうのは、やはり、日常的な地域金融機関(ちいきん)と顧客である中小・零細企業、個人事業主との間に信頼関係が育っておらず、また、税理士などの認定支援機関との間の連携も取れていないことも理由としてあげられると思う。
本来は、平時から培っておくべき関係を、このコロナという有事に生み育てていくことができるのか。
今、地域金融(ちいきん)の真価が問われている。