政府が日銀に命じて行なっている地域金融機関(ちいきん)の合併促進のための金利0.1%上乗せについて

現在、政府が日銀に命じて行なっている地域金融機関(ちいきん)の合併促進のための金利0.1%上乗せについて、意見を述べたいと思います。

まず、菅総理は根本的な認識が間違っています。日本は決してオーバーバンキングではありません。

単純に人口当たりの地域金融機関(ちいきん)数を見てみましょう、

・アメリカは人口約3億3000万人に対し地域金融機関は1万強で、33000人に一つの地域金融機関です。

・ドイツの人口約8300万人に対して金融機関は1500余と55333人に一つの地域金融機関です。

・そして日本は、人口約1億2600万人に対して金融機関数は240000人に一つの地域金融機関しかありません。

上の数字からもわかるように、日本はむしろ金融機関が少ないくらいなのです。

しかし、日本銀行は11月10日に開かれた政策委員会・通常会合で、「地域金融(ちいきん)強化のための特別当座預金制度」を導入する方針を決めてしまいました。

これは、経費率の低下(合併が一般的)などで示せる経営基盤の強化を実現することなどの要件を満たす地域金融機関を対象に、当座預金残高に対して年0.1%の上乗せ金利をつけるもので、3年間の時限措置です。

私の尊敬している先生の言葉に「地域金融機関(ちいきん)の合併は離婚のできない結婚だ」というものがあります。

地域金融機関(ちいきん)の合併で確かに店舗統合、不必要な店舗の削減などが行われ経費率は低下するかもしれません。しかし、国家資金を投入してソニー・東芝・日立のディスプレイ部門が統合されて誕生したジャパンディスプレイ(略称JDI)が代表例であるように、合併後の社員は、旧会社で派閥を作り、その結果職場の雰囲気は悪くなり、業績悪化につながります。また、吸収合併の場合は、吸収された方の職員は基本的に出世できなくなりますので、モチベーションが低下し、これもまた業績悪化の要因の一つになります。

そのような悪影響があるにもかかわらず、人間のように簡単に離婚届を書いてサヨナラというわけにもいきません。

職員がこのような状態で、地域密着型金融、いわゆるリレーションシップバンキングが行えるでしょうか?私はできないと思います。

本当に日本の地域金融機関が飽和していてオーバーバンキングで減らしていくのが正解なのか、菅総理にはもう少し深く地域金融について考えてみてほしいと切に願います。